獺祭 磨き二割三分物語

~ 獺祭 磨き二割三分物語 ~

 

 

 

第一章 ~ はじまり ~

 

当時、なんとなくそれらしく造れるようになってきた吟醸酒は、1980年代終盤のバブル景気と吟醸酒ブームに乗り、売上が伸びていきました。

外部から最新の技術情報を取込み、杜氏に実行してもらう「マニュアル70点」を目指した酒造り。

ただし、吟醸酒づくりは困難を伴うため、いつしか楽な方へと流れがちで言い訳を見つけて70点からやがて60点へとなってしまいがちです。

そんな中、良い商品が生れる状況を設定する。

もう一段厳しいこだわりを持つという目標の中で安直ではありますが何か日本一の事をやろうという中で小さくまで精米していく事に挑戦していきました。

このお酒は当初は23%の精米歩合の純米大吟醸として計画されました。

社員総出で栽培した自社保有田の山田錦の稲穂を見ながら、「これで日本最高の精米歩合の酒を造ろう」と思い立ったのがきっかけです。

精米機に玄米を入れて精米し始めたのを確認して出張した会長の桜井に、灘のある大手メーカーが23%精白の純米大吟醸を市販してると教えてくれた方がいました。

一晩考えて翌日帰りの新幹線の中から車内電話でさらに6%磨いて23%にするよう精米担当者に要請しました。

すでにその時精米し始めてから6昼夜経っていました。疲れもあり、渋る担当者を説得して何とかあと2%磨いてもらったんですが、その最後のたった2%を磨くために24時間かかりました。

 

獺祭の誕生当時の酒蔵

 

現在では、旭酒造より更に精米している蔵元は多く存在しています。

しかし私たちは、ただ磨くという事を追及しているわけではない為、精米するだけにこだわっておりません。

 

 

第二章 ~ 伝えたいもの ~

写真左:山田錦玄米 写真右:23%精米山田錦

 

獺祭 磨き二割三分」の名前の所以たる23%という米の精米歩合はおそらく米の磨き歩合としてはと今もまだ最高峰に近いと考えられます。

私達は米の磨きが最高だから素晴らしいとは思っていません。この数字に満足するのではなくお酒の美味しさが日本最高であることを求めます。

「獺祭って期待したほどじゃないね」この言葉が私どもの最も恐れる言葉です。華やかな上立ち香と、芳醇な味、濃密な含み香、全体を引き締める程よい酸、これらが渾然一体となりバランスの良さを見せながらのどにすべりおりていった後は爽やかな後口の切れを見せ、そこから長く続く余韻、そんなお酒でありたいと常に努力しています。

 

あるバラエティ番組でこの「獺祭 磨き二割三分」が取り上げられたことがあります。

三種類のお酒の中からどれが本物の獺祭か当てると言う、よくワインであるようなお笑いあり引っ掛けありの本物当て企画でした。

この放送の中である女性タレントが、「このお酒は私が今まで飲んだ日本酒のように『ウガッ』とならないから、これが本物の獺祭」と見事に当ててくれました。

私達がいつも話している「良いお酒は飲んだらパッとわかるんですよ。通でなければ理解できない酒なんてないですよ」という言葉を立証してくれる言葉でした。

だけど、それより興味深かったのは他のあるタレントが話した「このお酒は最初それほどでもなかったけど二口・三口飲むうちに段々美味しさが分かってくる」と言う言葉でした。

 

 

私達は獺祭磨き二割三分に表面的な美味しさも勿論求めますが、深いところで様々な表情を見せる、そんな奥深い美味しさを求めて努力しています。

どうかゆっくり飲んでください、ゆっくり楽しんでください、「獺祭 磨き二割三分」は様々な表情と魅力を貴方に見せてくれることと思います。

 

 

第三章 ~ 変わらぬ思い ~

 

現在、「磨き二割三分」には様々な種類が存在してます。

「磨き二割三分 遠心分離」

「獺祭早田 磨き二割三分」

「新生獺祭 磨き二割三分」

冬季限定

「磨き二割三分 温め酒」

年末限定

「磨き二割三分 発泡にごり酒」

「磨き二割三分 元旦届」

と「磨き二割三分」だけで6種類存在します。

お客様からはこんなに種類があったんですねと言われる程です。

酒造りは一般的に伝統産業として捉えられます。

それは昔からの技術で造る事が素晴らしいと称賛されるような世界です。しかし私たちは手法にこだわりはありません。

常に、より優れたお酒を目指して「変わる」ことこそ、旭酒造の伝統でありたいと思っています。

例えば、「磨き二割三分 遠心分離」というお酒です。通常、お酒の上槽という工程は加圧式で搾られます。

旭酒造では、商業ベースでは日本ではじめて遠心分離機を導入しています。無加圧状態でもろみから酒を分離するため、

純米大吟醸の本来持つべき香りやふくらみなどの美点が崩れることなく表現できます。

勿論欠点もたくさんあって、無加圧ということはコスト的には厳しくなります。他にも機械そのものが一軒家を買える位高価であるとか、

酒造業者での第一号機だから当然さけられない初期トラブルが発生するとか、たくさんの問題を抱えています。しかし良いお酒を造りたいという目的のために思い切って導入しました。

その他の磨き二割三分シリーズに関しても同様でより優れたお酒を目指した結果、誕生していきました。

 

 

第四章 ~ 社会的価値 ~

 

旭酒造では、よく「酔うため売るための酒ではなく 味わう酒を求めて」と言わせて頂いております。

これは、お客様にとってお酒が人生を豊かにする存在であって欲しいという思いからなる言葉です。

旭酒造は、常に誰の為になる事かという風に考えています。それは今の社会や世の中において会社として何が出来るかということも同じです。

特に磨き二割三分シリーズの販売金額の一部で世界寺子屋運動ネパール支援への寄付、東日本大震災から継続しているユネスコ東北就学支援奨学金への寄付、

熊本大地震での熊本県への寄付、令和元年台風19号での被災地への寄付、現在はコロナウィルス感染拡大により大変な医療従事者に向けた寄付を行っております。

このような取組みも酒蔵として重要と考えております。

また磨き二割三分は、精米歩合23%と残りの77%は糠(ぬか)となります。

そういったものも折角、農家さんが私たちの獺祭の為に生産頂いた山田錦ですから無駄にならぬよう、地元畜産農家さんへ飼料としてご利用を頂いたり、

お菓子やパンの原材料、調味料の原材料として新たな価値を生みだしております。

ご利用して頂いた皆様からは、大変好評で「原料の米粉でここまで出来上がりの味が違うとは驚いた」などありがたいお言葉を頂くほど優秀な価値を生みだしております。

ある企業様でも米粉を利用して頂いておりますが利用する為に設備投資を行った程です。

これも山田錦生産農家さんが一生懸命に作って頂くからこその価値です。